こんばんは、きずな歯科の碓井智也です。
朝晩寒さが厳しい季節となりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
今回は、安全・安心な歯科医療とは何かということで、私の考え方をお伝えできればと思います。
私が麻酔研修中に指導医の先生方から教えて頂いた教訓の一つとして、麻酔中は常に全身のアンテナを張りめぐらせ、患者さんを手術の侵襲から守ることに全力を尽くしなさいということでした。
全身麻酔の主な目的とは、痛みを除去する鎮痛、精神的苦痛を除去する鎮静、手術や検査による体動を抑える不動化の3つがあげられます。
手術中は無意識下であっても外部からのストレスに対して身体は反応しており、血圧や脈拍の変動が常に起こっています。その変動に対して、薬剤や輸液の投与量を変えたりしながら、対応していくのです。
手術中に生体モニターで呼吸や脈拍、血圧、心電図などチェックすることは確かに重要なのですが、傷口からの出血の色や量、手足の温かさ、唇や爪先の色など、全身状態を図る要素は、モニター以外にいくらでもあるのです。
指導医の先生は、常にモニターの数字ばかりに囚われてはいけない、モニターより患者さんをみろと、常に注意をして下さいました。
翻って、私が歯科治療を行う際のことを振り返れば、どこまで患者さんの全身状態に気を配れているか、いまでも未熟であると感じることが多いです。
歯科で使う局所麻酔には、交感神経を刺激する薬剤が含まれているので、心疾患や甲状腺疾患がある方はモニター下で、十分注意しながら行うべきですが、時間の関係でなかなかリスクのある方全員に心配りができない場合があります。
また、口腔内の処置に集中すると、顔色や口唇の変化といった、全身状態の変化を感じとるのが遅くなるケースがあります。
歯科治療は、決して当たり前の処置ではなく、生体にとって非日常の侵襲が加わる機会であるため、常に学び続け危険を事前に防げるような、安全最優先の歯科治療を行えるように全力を尽くしたいと考えています。
皆さま、開院の際には宜しくお願い申し上げます。